ある大雪の降る夜に、お伺いしました。
ベットに眠るご主人を格好よく送り出したいと、奥様であるN様、お嬢様が故人のお着替えから始めました。お嬢様の小さな手は、熟練者のように手慣れた手つきでした。奥様は看病だけでなく、穏やかにおおらかにお嬢さんと接して来られた様子。お嬢さまも小さなナースとして、ご家族三人で頑張ってこられた様子がうかがえました。
共にお祈りして、お送りの準備をしていくうちに、奥様が徐々に私に心を委ねてくださっていくのを感じました。
ご遺影として選ばれたのは、父娘の2ショット。これまで例がなかったので、正直戸惑いましたが、居合わせてくださった牧師先生が笑顔で「いいですよ。」と仰ってくださったことに背中を押され、背景をお嬢様の好きなピンクに替えて、用意いたしました。
お別れには、沢山のご友人や仕事関係の方々も来られ、用意した席が足りず、ご出棺までお立ちのままの方も大勢おられるほどでした。
数年後、N様よりご実家からお母様をお迎えしたいとご相談があり、お守り代わりにと、状況に合わせたお見積をしました。母娘孫が暮らす豊かな月日が流れ、クリスマスは天国でとばかりに召されたお母様。好きだった藤色、笑顔でVサインのご遺影でお送りいたしました。