K区N様の例(教会でのご葬儀)
「愛娘との2ショット」
ある雪の降る夜に、お伺いしました。ベットに眠るご主人を格好よく送り出したいと、お着せしたスーツと持参していた同系色のウール地でベストを作り、奥様、お嬢様と身づくろいをいたしました。身づくろいをする小さな手は、お手伝いも手慣れていました。奥様は看病だけでなく、穏やかにおおらかにお嬢さんと接して来られた様子が伺えました。お嬢さまも小さなナースとして、ご家族三人で頑張ってこられたと感じました。共にお祈りして、お送りの準備をしていくうちに、奥様は徐々に私に心を委ねてくださっていくのを感じていました。
ご遺影は、父娘の2ショットを選ばれました。これまで例がなかったので、正直戸惑いましたが、牧師先生が笑顔で「いいですよ。」と仰ったことで背中を押され、背景をお嬢様の好きなピンクに替えて、用意いたしました。キリスト教のご葬儀では、「~をしてはいけない。~をすべき」というルールがないのです。基本的に、法律や斎場でのルール※が順守されている範囲であれば、適えられるようにいたします。お別れには、沢山のご友人や仕事関係の方々が来られ、席が足りず、お立ち頂く方もおられるほどでした。
ご葬儀が終わるまでは、伴走するようにご一緒しますが、基本的にご葬儀が終わったら、ご遺族とは離れます。ところが、奥様とは離れがたく、お友達としておつきあいをと、SNSを通しての交流が始まりました。
ご実家からお母様をお迎えしたいと、ご相談があり、お守り代わりにと、状況に合わせたお見積をしました。ご実家からお迎えして、母娘孫が暮らす豊かな月日。クリスマスは天国でとばかりに召されたお母様を、好きだった藤色、Vサインで笑顔のご遺影でお送りいたしました。
※斎場での撮影禁止と友引ではご葬儀ができないこと、お柩にガラスや金属・炭素繊維など、不燃性でご遺体を損傷させる恐れのあるものを納めることができない等のルールはあります。
<K区N様からの声>
2013年に夫を亡くし、牧師から紹介。病院から自宅ベッドに安置し、スーツに着替えさせるのが最初にしなくてはならないことでしたが、心細さと喪失感に何度も挫けそうになる私を、一緒に祈りながら励ましていただきました。遺影を選ぶ際、式の後飾るのに辛いからと娘と仲良く写っている写真にしたいというリクエストにも快く応えて下さり、私の心にしっかり寄り添っていてもらえているととても嬉しく安心してお任せしました。参列して下さった方々が皆、素晴らしい式だったとのお言葉を下さいました。三年前に母を呼び寄せ同居をする際にも、近い将来看取ることになることを想定して予め葬儀について相談したときも、本当に親身になってアドバイスしていただき、去年の年末に母を見送ることができたのも大きな感謝です。